今日は経営法務のR2第9問について解説します。
以下の会話は、C株式会社の代表取締役甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。
会話の中の空欄AとBに入る記述の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
甲 氏:「当社が製造販売するアイスキャンディーに使っている恐竜のキャラクター『ガリガリザウルス』をご存じですよね。いま、すごく人気が出ているのですが、このフィギュアやステッカーを作って販促品にしようと思っています。そこで、あらためて、このキャラクターの著作権が誰のものか気になって、相談したいのです。」
あなた:「その『ガリガリザウルス』の絵柄は、どなたが描いたのですか。」
甲 氏:「当社の商品開発部が考えた商品コンセプトに基づいて、パッケージデザインを担当する宣伝部の若手社員が業務として描き下ろしたものです。」
あなた:「そういうことでしたら、その絵柄は職務著作に該当しそうですね。」
甲 氏:「その職務著作とやらに該当したら、『ガリガリザウルス』の絵柄の著作権は、誰の権利になるのでしょうか。」
あなた:「社員と会社との間に契約、勤務規則その他に別段の定めがないのでしたら、著作者は[ A ]となります。権利については[ B ]ことになります。」
甲 氏:「なるほど、分かりました。」
〔解答群〕
ア A:従業者である社員
B:著作者人格権は社員が有しますが、著作権は使用者である会社が有する
イ A:従業者である社員
B:著作者人格権は社員が有しますが、著作権は使用者である会社と社員が共有する
ウ A:使用者である会社
B:著作者人格権と著作権の両方を会社が有する
エ A:使用者である会社
B:著作者人格権は会社が有しますが、著作権は会社と従業者である社員が共有する
解説
著作権についてのミニケース問題です。ついつい、某アイスの少年が思い浮かんでしまう問題ですね。
私は定番のソーダ味が好きです。
さて、今回は職務著作に関する問題です。
職務著作に関しては、職務上発生した著作権は原則としてはじめから使用者に帰属し、使用者は著作権、著作者人格権の両方を有します。
それを踏まえて空欄を確認してみましょう。
まず、空欄Aについて確認します。
今回のガリガリザウルスの絵柄は職務著作に該当するとのことです。
職務上発生した著作権は原則としてはじめから使用者に帰属しますので、空欄Aには「使用者である会社」が入ります。
これで選択肢はウとエに絞られました。
次に空欄Bについて確認します。
職務著作に関しては、上記の通り、使用者は著作権、著作者人格権の両方を有します。
そのため、空欄Bには「著作者人格権と著作権の両方を会社が有する」が入ります。
以上から、正解は選択肢ウとなります。